2018-06-07 夏の裁断/島本理生 会話文 地の文 小説 中長編小説 「そうじゃなくて。だって自炊って」 と言いかけて。しょせん母は向こう側の人なのだ、と実感した。自炊と聞いただけで生理的な嫌悪がまったく湧かないなんて、私には信じられなかった。 自炊ということは。 本を、切るのだ。 ばっさり裁断して、データとしてパソコンに取り込んだ後は、大量のゴミとして捨てる。 身内にも本を出した人間がいるが専門書方面だからか、自炊というか本に対してここまでの思い入れはないように思える。本が生業の人間にとっての自炊を考えさせられた。