恋の聖地: そこは、最後の恋に出会う場所。/瀧羽麻子のトキちゃん
「別に、ひっぱってかなくたっていいじゃないの」
と、祖母は言った。
「どんなに強く見えたって、好きにやってるように思えたって、誰だって動けなくなるときはあるもんだよ。そのときに、そばにいてあげられたらいいんだよ。それだけでだいぶ助かる」
拓郎が分かった途端、拓郎を「マサフミさん」と間違えたのは偶然だろうか。彼の顔つきが、心が変わったからではないのか。最後の「トキちゃん」と声をかけれた彼は祖母の言葉を実践したんだとふと気づく。